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血管性うつ病の病態基盤の解明

高齢者のうつ病患者では、高血圧や一過性虚血性発作等の脳血管障害を疑う臨床所見が多く認められることや[Baldwin and Tomenson, 1995; Alexopoulos et al., 1997a]、MRI等による脳画像診断の進歩・発展により、高齢者のうつ病患者において、健常対象者と比較してMRIで同定される白質高信号が多いことから[Krishnan et al., 1988; Fujikawa et al., 1993]、1997年に脳血管性の器質的要因を伴ううつ病として『血管性うつ病仮説vascular depression hypothesis』という概念が提唱されており、大脳皮質下白質領域における微細な脳血管障害がうつ病の発症precipitationあるいは発症脆弱性predisposition、うつ状態の持続性perpetuationに関与すると考えられています[Alexopoulos et al., 1997b; Krishnan et al., 1997](図1)。

血管性うつ病仮説

しかしながら、このような微細な脳血管障害は無症状であることも多く、その発症時期を特定することが難しく、うつ病の成因となりうるのかについて検討することは極めて困難であり、この仮説の検証についてはほとんど進んでいません。我々のグループでは、実験動物(マウス)に対して、脳外科的に血管結紮あるいは狭窄手術を施し[Yoshizaki et al., 2008; Shibata et al., 2004]、行動学および組織学、生理学手法を用いて、脳血管障害がうつ病の病態基盤にどのように影響のかを検証することを目的としています。

血管性うつ病仮説の検証のための実験手技
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